intelligence-collaboration-guidelines.md
# 知性協応ガイドライン
## チーム共有用:原理・ルール・レベル体系
---
## § 0. このドキュメントの使い方
```
【対象】
AI/知性システムと協働するすべてのチームメンバー
【目的】
・責任帰属を曖昧にしない
・信頼できる成果物を生み出す
・チーム内で判断基準を共有する
【読み方】
1. §1で原理を理解(5分)
2. §2で自分の状況に合うレベルを選ぶ(2分)
3. §3で具体的ルールを確認(必要に応じて)
4. §9で既存フレームワークとの接続を確認
5. §10でチーム導入プロセスを実行
```
---
## § 1. 原理原則(3つの選択肢)
### 原理の選択肢一覧
| 原理 | 要約 | 適用場面 | リスク |
| :-------------- | :----------------------- | :--------------------- | :------------- |
| **A. 道具原理** | 「私が全責任を負う」 | 個人作業、内部検討 | 社会的検証不能 |
| **B. 協応原理** | 「関係構造で責任を分担」 | 対外発信、成果物公開 | 設計コスト |
| **C. 代理原理** | 「システムに人格を付与」 | 継続的対話、ブランド化 | 責任の曖昧化 |
---
### 原理A:道具原理
```
【定義】
知性システムは道具であり、出力の全責任は使用者にある
【宣言文】
「この成果物は私が作成した。
知性システムは道具として使用した。
内容の責任は私にある。」
【適用条件】
・個人の思考整理
・内部検討資料
・公開しない下書き
【限界】
・「どう作ったか」が外部から見えない
・大規模協働には不向き
・社会的説明責任を果たしにくい
```
---
### 原理B:協応原理(推奨)
```
【定義】
人間と知性システムが明示的な関係構造の中で責任を分担する
【宣言文】
「この成果物は、[人間]と[システム種別]の協働で作成した。
[人間]は方向づけ・判断・最終確認を担当した。
[システム]は構造化・展開・草案生成を担当した。
過程は[方法]で検証可能である。」
【適用条件】
・対外発信物
・クライアント提出物
・チーム共有資料
・公開コンテンツ
【実装要件】
・役割分担の明示
・過程の記録
・最終判断者の特定
```
---
### 原理C:代理原理
```
【定義】
知性システムに名前・人格を与え、関係の座標軸とする
【宣言文】
「この成果物は、[人間]と[システム名]が共同で作成した。
[システム名]は[人間]との継続的な対話を通じて
[特定の役割]を担っている。」
【適用条件】
・長期的なブランド構築
・継続的な対話関係
・外部との明示的な関係設定
【注意】
・人格の付与は責任の明確化が目的
・擬人化による責任曖昧化を避ける
・「システム名が言った」で終わらせない
```
---
### 原理選択フロー
```
Q1: 成果物を外部に公開するか?
│
├─ No → 原理A(道具原理)で十分
│
└─ Yes → Q2へ
Q2: 継続的な関係・ブランドを構築するか?
│
├─ No → 原理B(協応原理)を適用
│
└─ Yes → 原理C(代理原理)を検討
ただし原理Bを基盤とする
```
---
## § 2. 成熟度レベル(5段階)
### レベル一覧
| Lv | 名称 | 状態 | 次への課題 |
| :-- | :----- | :----------- | :----------- |
| 1 | 無自覚 | 区別なく使用 | 認識を持つ |
| 2 | 認識 | 違いを理解 | 原理を選ぶ |
| 3 | 選択 | 原理を選択 | 一貫して適用 |
| 4 | 実装 | ルールを運用 | 検証・改善 |
| 5 | 進化 | 継続的に改善 | 他者へ展開 |
---
### 各レベルの詳細
**Lv1:無自覚**
```
状態:
・知性システムの出力をそのまま使用
・自分の言葉との区別がない
・責任の所在を考えていない
兆候:
・「AIが言った」で説明が終わる
・出力をコピー&ペーストするだけ
・「便利だから使っている」
処方:
・本ガイドラインを読む
・「これは誰の言葉か?」を問う習慣
```
**Lv2:認識**
```
状態:
・人間と知性システムの違いを理解
・責任の問題を認識している
・しかし具体的な対応がない
兆候:
・「AIの出力は参考程度に」と言う
・しかし実際の区別が曖昧
・「気をつけている」が具体性なし
処方:
・原理A/B/Cから一つを選ぶ
・選んだ理由を言語化する
```
**Lv3:選択**
```
状態:
・原理を選択している
・場面に応じて使い分ける意識がある
・しかし一貫性に欠ける
兆候:
・「今回はこうした」が説明できる
・しかし毎回判断が異なる
・チーム内で基準が共有されていない
処方:
・ルールを文書化する
・チームで共有する
```
**Lv4:実装**
```
状態:
・ルールが文書化されている
・チームで共有・運用している
・成果物に一貫性がある
兆候:
・「うちのルールでは」と説明できる
・新メンバーに引き継げる
・外部に説明責任を果たせる
処方:
・運用結果を振り返る
・ルールを改善する
```
**Lv5:進化**
```
状態:
・継続的に改善している
・状況変化に適応している
・他者・他チームに展開している
兆候:
・定期的な振り返りがある
・新しい状況に対応できる
・知見を外部に共有している
到達点:
・これが終点ではない
・「含んで超え続ける」
```
---
### チーム診断
```
【簡易診断】
□ 知性システム使用時の原理を選択しているか?
→ No: Lv1-2
→ Yes: 次へ
□ 原理に基づくルールが文書化されているか?
→ No: Lv3
→ Yes: 次へ
□ ルールがチームで共有・運用されているか?
→ No: Lv3-4の移行期
→ Yes: 次へ
□ 定期的な振り返りと改善があるか?
→ No: Lv4
→ Yes: Lv5
```
---
## § 3. 運用ルール(原理B:協応原理の場合)
### 3.1 役割分担の明示
```
【人間が担う役割】
・目的の設定
・方向づけ
・価値判断
・最終確認
・責任の引き受け
【知性システムが担う役割】
・情報の構造化
・選択肢の生成
・草案の作成
・パターンの抽出
・検証の補助
【明示方法】
成果物に以下を記載:
「本資料は[人間名/チーム名]が作成。
構造化・草案生成に知性システムを使用。
内容の判断・責任は[人間名/チーム名]にある。」
```
---
### 3.2 過程の記録
```
【記録すべき要素】
必須:
・使用したシステムの種別
・主要な入力(問いかけ)の概要
・人間による編集・判断の有無
推奨:
・対話ログの保存
・版管理(どの段階で何を変更したか)
・判断の理由
【記録の粒度】
内部検討:概要レベルで十分
対外発信:詳細な記録を推奨
法的責任が生じうる場面:完全な記録を必須
```
---
### 3.3 最終判断者の特定
```
【原則】
すべての成果物に最終判断者を特定する
【最終判断者の責任】
・内容の正確性を確認した
・公開・提出の判断をした
・問い合わせに応答できる
【特定方法】
・署名
・承認フロー
・履歴管理
【禁止事項】
✗ 「AIが作った」で責任を回避
✗ 最終判断者が不明確な成果物の公開
✗ 確認なしでの出力使用
```
---
### 3.4 開示レベルの選択
| レベル | 開示内容 | 適用場面 |
| :----- | :----------------------- | :--------------------- |
| 最小 | 「知性システム使用」のみ | 一般的な対外発信 |
| 標準 | 使用方法・役割分担を明示 | クライアント提出物 |
| 詳細 | 過程・ログを開示可能 | 法的責任が生じうる場面 |
| 完全 | 全対話ログを公開 | 研究・教育目的 |
---
## § 4. 禁止事項と推奨事項
### 禁止事項(すべてのレベルで適用)
```
【絶対禁止】
✗ 出力をそのまま「自分の言葉」として発信
→ 最低限の確認・編集を行う
✗ 「AIが言った」で説明責任を回避
→ 使用者が責任を負う
✗ 機密情報の無断入力
→ 情報管理規定に従う
✗ 出力の事実確認なしでの公開
→ 検証可能な事実は確認する
✗ 著作権侵害の可能性がある出力の使用
→ 出典確認、独自性の担保
```
---
### 推奨事項
```
【強く推奨】
✓ 入力前に目的を明確にする
→ 「何のために使うか」を言語化
✓ 出力に対して批評的に接する
→ 鵜呑みにしない、検証する
✓ 人間の判断を加えた痕跡を残す
→ 編集、追記、構成変更
✓ 使用事実を適切に開示する
→ 場面に応じた開示レベルを選択
✓ 定期的に運用を振り返る
→ 月次/四半期での確認
```
---
## § 5. 場面別ガイド
### 場面1:内部検討資料
```
原理:A(道具原理)で十分
開示:不要
記録:最小限
注意:そのまま外部に出さない
```
### 場面2:クライアント提出物
```
原理:B(協応原理)
開示:標準レベル(使用方法・役割分担)
記録:詳細に保存
注意:最終判断者を明確に
```
### 場面3:公開コンテンツ(ブログ、SNS等)
```
原理:B(協応原理)
開示:最小〜標準(文脈による)
記録:標準レベル
注意:事実確認を徹底
```
### 場面4:法的文書・契約書
```
原理:B(協応原理)+ 法務確認
開示:詳細レベル
記録:完全に保存
注意:専門家の確認を必須とする
```
### 場面5:創作物(文章、デザイン等)
```
原理:B or C(目的による)
開示:文脈に応じて判断
記録:創作過程を保存
注意:著作権・オリジナリティの確認
```
---
## § 6. チェックリスト
### 成果物公開前チェック
```
□ 原理(A/B/C)を選択したか?
□ 最終判断者は誰か明確か?
□ 事実確認を行ったか?
□ 適切な開示レベルを選択したか?
□ 機密情報の漏洩リスクはないか?
□ 著作権侵害の可能性はないか?
□ 過程の記録は十分か?
```
### 定期振り返りチェック(月次推奨)
```
□ 原理の選択は適切だったか?
□ ルールは守られていたか?
□ 問題は発生しなかったか?
□ 改善すべき点はあるか?
□ 新しい状況への対応は必要か?
```
---
## § 7. 用語定義
| 用語 | 定義 |
| :----------- | :--------------------------------------------------- |
| 知性システム | 人間の問いかけに対して言語・構造を生成するシステム |
| 協応 | 人間とシステムが明示的な関係構造で責任を分担すること |
| 最終判断者 | 成果物の内容に責任を負う人間 |
| 開示 | 知性システムの使用事実・方法を明らかにすること |
| 過程記録 | 入力・出力・編集の履歴を保存すること |
---
## § 8. 更新履歴
```
v1.0 (2025-12-31)
- 初版作成
- 原理3選択肢、レベル5段階、運用ルールを定義
- §9 フレームワーク統合、§10 導入プロセスを追加
```
---
## § 9. 既存フレームワークとの統合
### 9.1 フレームワーク接続マップ
```
┌─────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ 知性協応ガイドライン × 既存フレームワーク 統合マップ │
├─────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ │
│ ┌─────────────┐ │
│ │ ITF v2.1 │ ← 6つの問いの中で本ガイドラインを位置づけ │
│ │ (思考体系) │ │
│ └──────┬──────┘ │
│ │ │
│ ▼ │
│ ┌─────────────────────────────────────────────┐ │
│ │ Q4: How - 知性協応ガイドライン │ │
│ │ 「どのように知性システムと協働するか?」 │ │
│ └──────┬──────────────────────────────────────┘ │
│ │ │
│ ┌──────┴──────┐ ┌─────────────┐ ┌─────────────┐ │
│ │ CEM │ │ USM │ │ AAF │ │
│ │ (能力拡張) │ │ (統合) │ │ (自律) │ │
│ └─────────────┘ └─────────────┘ └─────────────┘ │
│ │
└─────────────────────────────────────────────────────────────┘
```
---
### 9.2 ITF v2.1(Integrated Tools Framework)との接続
**位置づけ**: ITFの「Q4: How」の具体的実装
```
ITF 6つの問いの円環:
Q1: What - 何を作るか?
Q2: Why - なぜ作るか?
Q3: Who - 誰のために?
Q4: How - どのように? ← 【知性協応ガイドライン】
Q5: When - いつ作るか?
Q6: Integration - どう統合するか?
接続点:
- 本ガイドラインは「知性システムとの協働方法」を定義
- ITFの問いかけ構造と本ガイドラインの原理選択を連動
- Q4の答えとして本ガイドラインを参照
```
**実践的活用**:
```
ITFで探求中に知性システムを使用する場合:
1. Q4の段階で本ガイドラインの原理を選択
2. 選択した原理に基づいて協働を実施
3. Q6の統合時に協働過程を振り返り
```
---
### 9.3 CEM(Capability Expansion Model)との接続
**位置づけ**: CEMの「関係設計」層の運用ガイド
```
CEM 4層構造:
Layer 1: 基盤能力
Layer 2: 拡張能力
Layer 3: 関係設計 ← 【知性協応ガイドライン】
Layer 4: 創発能力
接続点:
- 原理B(協応原理)= CEMの関係設計の具体化
- 成熟度レベル = CEMの能力発達段階と対応
- 役割分担 = CEMの人間-AI責任分担モデル
```
**対応表**:
| 協応レベル | CEM能力層 | 状態 |
|:--|:--|:--|
| Lv1-2 | Layer 1-2 | 道具的活用 |
| Lv3-4 | Layer 3 | 関係設計的活用 |
| Lv5 | Layer 4 | 創発的活用 |
---
### 9.4 USM(Unified Service Model)との接続
**位置づけ**: USMのサービス品質基準における「協働品質」の定義
```
USM 品質次元:
- 機能品質
- 体験品質
- 信頼品質 ← 【知性協応ガイドライン】
- 進化品質
接続点:
- 信頼品質 = 責任帰属の明確さ、過程の透明性
- 開示レベル = USMの透明性基準
- チェックリスト = USMの品質保証プロセス
```
**品質基準への反映**:
```
USM信頼品質の評価項目:
□ 知性システム使用の開示(本ガイドライン§3.4準拠)
□ 最終判断者の明示(本ガイドライン§3.3準拠)
□ 過程記録の保存(本ガイドライン§3.2準拠)
```
---
### 9.5 AAF(Agentic AI Framework)との接続
**位置づけ**: AAFの「人間-Agent境界」の運用規範
```
AAF 自律レベル:
L1: 支援型(人間主導)
L2: 協働型(共同作業)← 【原理B:協応原理】
L3: 自律型(Agent主導)← 【原理C:代理原理】
接続点:
- 原理選択 = AAFの自律レベル選択に対応
- 責任分担 = AAFの権限委譲モデル
- 成熟度 = AAFの組織対応力
```
**対応関係**:
| 本ガイドライン | AAF自律レベル | 権限構造 |
|:--|:--|:--|
| 原理A | L1: 支援型 | 人間が全権限 |
| 原理B | L2: 協働型 | 権限を分担 |
| 原理C | L3: 自律型 | 一部権限を委譲 |
---
### 9.6 テスラ5層設計原則との接続
**位置づけ**: 5層の「Layer 2: 安全性層」における知性協働の制約
```
テスラ5層:
Layer 0: 物理的安全性
Layer 1: ハードウェア安全性
Layer 2: ソフトウェア安全性 ← 【知性協応ガイドライン】
Layer 3: AI安全性
Layer 4: システム安全性
接続点:
- 禁止事項 = Layer 2の制約として実装
- 最終判断者 = Layer 3の人間監督要件
- 過程記録 = Layer 4の監査証跡
```
---
### 9.7 主権AI Architectureとの接続
**位置づけ**: 主権保護レベルにおける「人間主権」の運用規範
```
主権AI 4レベル:
Level 1: Sovereignty Protection ← 【知性協応ガイドライン】
Level 2: Recursive Safety
Level 3: Emergent Partnership
Level 4: Sovereign Intelligence Mesh
核心洞察との接続:
「能力の優劣と決定権の所在は、別の次元である」
→ 知性システムが優れていても、決定権は人間にある
→ 本ガイドラインはこの原則を運用レベルで具体化
```
---
### 9.8 統合活用パターン
**パターン1: プロジェクト開始時**
```
1. ITF Q1-Q3で目的・対象を明確化
2. 本ガイドラインで原理(A/B/C)を選択
3. CEMで必要な能力層を特定
4. AAFで自律レベルを決定
```
**パターン2: 成果物作成時**
```
1. 本ガイドラインの場面別ガイド(§5)を参照
2. USM品質基準に照らして品質確認
3. チェックリスト(§6)で最終確認
```
**パターン3: 振り返り時**
```
1. 本ガイドラインのレベル診断を実施
2. ITF Q6で統合的に振り返り
3. CEMで能力発達を評価
4. 改善点を次サイクルに反映
```
---
## § 10. チーム導入プロセス
### 10.1 導入の全体像
```
┌─────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ 導入フェーズ(4週間モデル) │
├─────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ │
│ Week 1: 認識フェーズ │
│ ├── 現状診断(チームレベル特定) │
│ ├── ガイドライン共有(§1-2を中心に) │
│ └── 原理選択のワークショップ │
│ │
│ Week 2: 選択フェーズ │
│ ├── チームとしての原理決定 │
│ ├── 運用ルールのカスタマイズ │
│ └── ツール・記録方法の整備 │
│ │
│ Week 3: 試行フェーズ │
│ ├── 実際の業務で試行 │
│ ├── 課題の収集 │
│ └── 中間振り返り │
│ │
│ Week 4: 定着フェーズ │
│ ├── ルールの調整・確定 │
│ ├── チェックリストの運用開始 │
│ └── 定期振り返りサイクルの設定 │
│ │
└─────────────────────────────────────────────────────────────┘
```
---
### 10.2 Week 1: 認識フェーズ
**目標**: チームの現在地を把握し、ガイドラインを理解する
**Day 1-2: 現状診断**
```
【実施事項】
1. §2のチーム診断を全員が実施
2. 結果を集計し、チーム全体のレベルを特定
3. 現状の課題・懸念を洗い出す
【アウトプット】
・チーム現在レベル(Lv1-5)
・課題リスト
・メンバー別の認識マップ
```
**Day 3-4: ガイドライン共有**
```
【実施事項】
1. 全員で§1(原理)を読み合わせ
2. 3つの原理の違いを議論
3. 各自の業務に当てはめて考える
【ポイント】
・「正解」を求めない
・疑問点を積極的に出す
・既存の暗黙ルールを言語化する
```
**Day 5: 原理選択ワークショップ**
```
【実施事項】
1. 各メンバーが「自分の業務ならこの原理」を発表
2. 共通点・相違点を整理
3. チームとしての方向性を仮決定
【ファシリテーションのコツ】
・まず個人で考える時間を取る
・批判なく意見を出し合う
・仮決定であることを強調する
```
---
### 10.3 Week 2: 選択フェーズ
**目標**: チームとしての運用ルールを決定する
**Day 1-2: 原理の正式決定**
```
【実施事項】
1. Week 1の仮決定を振り返る
2. 場面別に適用する原理を決定
3. 決定内容を文書化
【決定すべき事項】
・デフォルト原理(多くの場面で適用)
・例外的に異なる原理を適用する場面
・判断に迷う場合のエスカレーション先
```
**Day 3-4: 運用ルールのカスタマイズ**
```
【実施事項】
1. §3の運用ルールをチーム状況に合わせて調整
2. 開示レベルの基準を具体化
3. 記録方法・ツールを決定
【カスタマイズ例】
・「標準開示」の具体的な文言テンプレート
・記録を保存する場所(Notion, Google Drive等)
・最終判断者の指定ルール
```
**Day 5: ツール・環境整備**
```
【実施事項】
1. 記録用テンプレートの作成
2. チェックリストのデジタル化
3. 共有フォルダ・チャンネルの設定
【準備すべきもの】
・過程記録テンプレート
・成果物公開前チェックリスト
・振り返り記録シート
```
---
### 10.4 Week 3: 試行フェーズ
**目標**: 実際の業務で試行し、課題を発見する
**Day 1-4: 実務での試行**
```
【実施事項】
1. 決定したルールに基づいて業務を実施
2. 各自が「うまくいったこと」「困ったこと」を記録
3. 日次または隔日で簡易共有(5分程度)
【記録すべきこと】
・適用した原理と場面
・ルール通りにできたか
・迷った点、困った点
・改善アイデア
```
**Day 5: 中間振り返り**
```
【実施事項】
1. 試行期間の課題を集約
2. ルール調整の方向性を議論
3. Week 4に向けた準備
【振り返りの問い】
・原理選択は適切だったか?
・運用ルールは現実的か?
・記録の負担は許容範囲か?
・チーム内で認識にズレはないか?
```
---
### 10.5 Week 4: 定着フェーズ
**目標**: ルールを確定し、継続的な運用サイクルを確立する
**Day 1-2: ルールの調整・確定**
```
【実施事項】
1. Week 3の課題に基づきルールを調整
2. 最終版のルールを文書化
3. チーム全員で合意
【確定すべき事項】
・チーム版ガイドライン(本ガイドラインをベースにカスタマイズ)
・運用開始日
・振り返りサイクル(月次など)
```
**Day 3-4: 運用開始**
```
【実施事項】
1. 確定したルールで本格運用開始
2. 新ルールの周知(再度の共有)
3. 疑問点への対応体制を確認
【定着のためのポイント】
・最初の1週間は意識的に確認し合う
・「これでいいのか?」を気軽に聞ける雰囲気
・完璧を求めすぎない
```
**Day 5: 継続サイクルの設定**
```
【実施事項】
1. 定期振り返りの日程を設定
2. 振り返りのファシリテーター決定
3. 改善プロセスの合意
【設定すべきサイクル】
・月次振り返り(30分)
・四半期レビュー(1時間)
・年次の大幅見直し
```
---
### 10.6 導入時のよくある課題と対策
**課題1: 「面倒くさい」という抵抗**
```
原因:
・記録の負担感
・既存の習慣を変えることへの抵抗
対策:
・最小限の記録から始める
・効果を実感できる成功体験を早めに作る
・「責任回避のため」ではなく「品質向上のため」と位置づける
```
**課題2: メンバー間の温度差**
```
原因:
・知性システムの使用頻度の差
・リスク認識の差
対策:
・全員参加のワークショップで共通理解を作る
・使用頻度が高い人をチャンピオンに
・段階的に巻き込む
```
**課題3: ルールが形骸化する**
```
原因:
・振り返りが行われない
・ルールが現実に合わない
対策:
・振り返りを必ず実施(カレンダーに入れる)
・ルールは「仮説」として常に改善対象
・うまくいっている点も共有する
```
**課題4: 原理の選択で迷う**
```
原因:
・場面の判断が難しい
・チーム内で基準が統一されていない
対策:
・迷ったらデフォルト原理を適用
・エスカレーション先を明確に
・判断事例を蓄積して共有
```
---
### 10.7 成功指標
**短期指標(1ヶ月後)**
```
□ 全員が原理(A/B/C)を説明できる
□ 成果物に最終判断者が明記されている
□ 過程記録が保存されている
□ チーム診断でLv3以上
```
**中期指標(3ヶ月後)**
```
□ 外部への説明責任を果たせている
□ 新メンバーへの引き継ぎができる
□ 振り返りが定期的に実施されている
□ ルールの改善が1回以上行われている
```
**長期指標(6ヶ月後)**
```
□ チーム診断でLv4以上
□ 他チームへの展開・共有ができる
□ 新しい状況への適応ができている
□ 知見が組織に蓄積されている
```
---
## 付録:クイックリファレンス
```
【原理選択】
内部用 → A(道具)
対外用 → B(協応)★推奨
ブランド化 → C(代理)
【必須アクション】
1. 原理を選ぶ
2. 最終判断者を決める
3. 過程を記録する
4. 適切に開示する
【禁止】
✗ 無確認で公開
✗ 「AIが言った」で回避
✗ 機密情報の入力
【レベル確認】
ルールがない → Lv1-2
ルールがある → Lv3-4
改善している → Lv5
【フレームワーク接続】
ITF Q4 → 本ガイドライン
CEM Layer 3 → 協応原理
USM 信頼品質 → 開示・記録
AAF L2 → 協働型
```
---
**Document Information**
```yaml
Title: 知性協応ガイドライン
Subtitle: チーム共有用:原理・ルール・レベル体系
Version: 1.0
Status: Active
Created: 2025-12-31
Location: docs/standards/writing/intelligence-collaboration-guidelines.md
構成:
§1: 原理原則(3選択肢)
§2: 成熟度レベル(5段階)
§3: 運用ルール
§4: 禁止事項と推奨事項
§5: 場面別ガイド
§6: チェックリスト
§7: 用語定義
§8: 更新履歴
§9: 既存フレームワークとの統合 ← NEW
§10: チーム導入プロセス ← NEW
適用範囲:
- 知性システムと協働するすべての業務
- 対外発信物の作成
- チーム内資料の作成
関連フレームワーク:
- ITF v2.1(Q4: How の実装)
- CEM(Layer 3: 関係設計)
- USM(信頼品質基準)
- AAF(L2: 協働型)
- テスラ5層設計原則(Layer 2)
- 主権AI Architecture(Level 1)
```
---
_原理を選び、ルールを運用し、継続的に進化する_
_責任を蒸発させず、協応を設計する_